ケンポナシ

学名:Hovenia dulcis  

ケンポナシ(玄圃梨) クロウメモドキ科ケンポナシ属

北海道の奥尻島・本州・四国・九州の山地の渓流沿いの斜面に自生する落葉高木。庭などに植栽されることもある。

樹高はふつう15mほどで、ときに高さ25m幹径1mほどになる。樹皮は暗黒褐色。網目状の縦の割れ目が多い。枝は暗紫色~紫褐色で光沢があり無毛。長楕円形のやや突出した皮目が多い。葉は互生。葉身は長さ10-20cm、幅6-14cmの広卵形。先端は尖り、基部は円形または切形で、左右不相称になることがある。縁には不揃いなやや粗い鋸歯がある。基部から長く伸びる3個の脈が目立つ。裏面は無毛。脈は裏面に隆起する。葉柄は長さ2-5cm、上端付近にあまり目立たない腺体がある。初夏、枝先と枝の上部の葉腋から集散花序を出し、小さな緑白色の花を付ける。花序は無毛。花は径7mm前後。花弁は5個、雄蕊を両側から包み込み、やがて反り返る。萼片5個も反り返る。花床には毛が多い。
花期は6-7月。
果実は核果。径7-10mmの球形で、9-10月に暗紫色に熟す。花序の軸は花の後に膨らんで、果期には肉質になり、食べられる。核は径4-5mmの扁平な円形、黒紫色で光沢がある。

※ 名の由来は、いくつかの説がある。その1は、果実の形状が手の指に似ていることから「手棒梨(てんぽなし)」と呼ばれたのが転訛して「ケンポナシ」となった。その2は、果実が肉厚で梨のような味を持つことから、同じく「手棒梨」と呼ばれた。その3は、果実が折れ曲がる様子が神仙の住む山「懸圃」に見られたことからなど。
 材は、木目が美しく、狂いが少ないため、家具や器具に使用される。

[近縁種]
ケケンポナシ(毛玄圃梨):Hovenia trichocarpa
             本州西部と四国に分布。
             ケンポナシと良く似るが、枝・葉裏・花序・果実に赤褐色の毛が多い。
             葉の縁の鋸歯は浅く目立たない。葉が渇くとケンポナシは濃緑色だが、ケケンポナシは赤褐色になる。


主写真撮影日:2013-06-23   撮影地:神奈川県相模原市緑区底沢地区
撮影者:MOMO