ヒノデラン

学名:Cattleya labiata  

ヒノデラン(日の出蘭)[別名:カトレア・ラビアタ、カトレア] ラン科ヒノデラン属

ブラジル北東部の標高500-1000mの山地の樹木や岩上に着生して生育するランで、鑑賞用に栽培される多年草。交配種も多く作出されている。

丈は20-30cm。匍匐茎の節から出る白くて太いうどん状の根で樹皮に張り付くようにして生活する。根の表面は白いスポンジ状の死細胞からなる組織で覆われ、雨水や着生した樹木の樹皮を伝って落ちてきた水をすばやく吸収し、その後でゆっくりと内側の生きた組織で吸収する。根の生きた組織は葉緑体を持ち、光合成の能力を持つ。匍匐茎はあまり伸びず数節だけ成長した後にすぐに立ち上がり、多肉質の偽球茎(バルブ)となる。偽球茎は棍棒状でやや偏平、数節からなるが、そのうちの1節だけが長く発達し、先端には1-2枚の葉を付ける。花は偽球茎の先端の葉の根元の内側(腋芽)から出る。偽球茎には多量の水分や栄養分が蓄えられ、間欠的にしか水が得られない樹上の環境に耐えられるようになっている。偽球茎と葉は何年間もの寿命を持ち、株全体で常に数本の偽球茎を持ち、古い偽球茎では葉が枯れて落ちてもなお余命を保ち、水分と栄養分の貯蔵器官として機能する。成長期になると匍匐茎と偽球茎の境界部の節の腋芽が成長を開始し、新しい偽球茎が立ち上がり葉が伸び始める頃に新しい匍匐茎から新しい緑色の根が伸張して樹皮に固着する。花は偽球茎の先端から出て1-数輪付く。花径は15cmほどと大輪で、外花被はやや細い楕円形、側弁は幅広い楕円形、唇弁の基部は蘂柱を包むように両端が上に曲がって筒状になり、先の方では卵形に広がり、周囲は襞になってうねり、中央は濃く色づくものが多い。色は白からピンク系のものが一般的。花には芳香がある。
花期は9-11月。

※ 和名は、故牧野富太郎博士の命名。花の美しさを日の出に見立てた。
 カトレアはカトレヤと記載されることもあり、「洋ランの女王」の異名を持つ。
 ヒノデラン(カトレア)属は、中南米の森林地帯に生育し、The Plant Listでの有効学名は交配種を含め190種ほどある。開花期は種によって異なり、主に冬・春咲き、夏・秋咲きがありますが、不定期に年数回花を咲かせるものも多くある。
 冬は最低でも5℃、出来れば10℃以上の場所が望ましい。


主写真撮影日:2017-11-26   撮影地:東京都江東区 夢の島熱帯植物館温室
撮影者:MOMO