アブラチャン

学名:Lindera praecox  

アブラチャン(油瀝青)[別名:ムラダチ、ヂシャ] クスノキ科クロモジ属

本州・四国・九州の、山地の中腹や山裾の落葉広葉樹林(湿ったところに多い)に生育する落葉低木。

高さは5mほどになる。幹はふつう叢生し、球形~扁球形の樹形を作る。樹皮は灰褐色で皮目が多い。新枝は細く、皮目が散生する。葉は互生。葉身は長さ5-8cm、幅2-4cmの卵状楕円形。先端は急に細く尖り、基部は急に狭まる。縁は全縁で、両面とも無毛。表面は緑色、裏面は淡緑色。葉柄は細く、長さ1-2cm、基部が紅色を帯びる。雌雄別株。春、葉の展開前に淡黄色の花が3-5個集まって咲く。花被片は6個、やや透明感があり、長さ2mmほどの広楕円形。雄花より雌花の方が小さい。花被片は花の後脱落する。雄花の雄蕊は9個、葯は2室。雌花には雌蕊1個と仮雄蕊9個がある。雄花の雄蕊と雌花の仮雄蕊は外側に6個、内側に3個ずつ並び、内側の花糸の両側に黄色の腺体が付く。
花期は3-4月。
果実は液果。径1.5cm程の球形で、9-10月に黄緑色に熟す。乾燥するると果皮が不規則に割れ、種子を1個出す。果柄の先はやや太くなる。種子は球形で赤褐色、基部から先に向かってごく低い稜がある。

※ 名は、種子や樹皮に油を多く含み、生木でもよく燃えることから。チャン(瀝青)は、ピッチやコールタールなどの総称。
 花はダンコウバイとよく似るが、ダンコウバイは花序が無柄、アブラチャンは有柄。


主写真撮影日:2013-03-15   撮影地:神奈川県相模原市南区
撮影者:MOMO