サクラタデ

学名:Persicaria odorata subsp. conspicua  

サクラタデ(桜蓼) タデ科イヌタデ属

本州・四国・九州・沖縄の、水辺・湿地・水田の畔などの湿った場所に生育する1年草。

丈は30-100cm。細長い地下茎があり、地中を横に伸長して増える。茎の下部は斜上し、多少分枝し、上部は直立する。茎は円柱形で細く、節がやや太く、節間は普通毛は無く、疎らに黄色の腺点がある。葉は互生し、長さ5-12㎝の披針形、先は鋭く尖る。葉縁と脈上にやや硬い毛がある。托葉鞘は褐色、長さ7-15㎜、縁毛は長さ4-12㎜。花序は1~3本に分枝し、細長く、曲がるが、先はあまり垂れ下がらない。花柄はやや長い。花被は淡紅色、稀に白色、腺点があり、5深裂し長さ5-6㎜。異型花柱性を示す自家不和合性で、雌蕊が長く雄蕊が短い長花柱型と雌蕊が短く雄蕊が長い短花柱型の両型の花を持つ個体が混生した条件で、双方の型の間で花粉のやり取りがなければ結実しない性質がある。花冠裂片に見えるのは萼裂片で、萼は5深裂し、裂片は広楕円形で長さ2.5-4.7mm、先は円形、淡紅色で腺点がある。雄蕊は8個あり、葯は淡紅色、長花柱型では長さ1-2mmとなり萼片より短く、短花柱型では長さ3.5-4.2mmとなり萼片より長い。子房は3個の花柱がある。
花期は9-10月。
痩果は長さ約3㎜の3稜形、赤褐色から黒色に熟し、光沢は少ない。

※ 名は、花の色と形が桜に似ていることに由来し、日本産のタデ属の中で花が最も大きい。

 [近縁種]
   ペルシカリア・オドラタ オドラタ亜種:Persicaria odorata subsp. odorata
                カンボジア・ラオス・タイ・ベトナム・ミャンマー・マレーシア原産の多年草。
                サクラタデには無い、強い芳香(唐辛子風味)がある。
                根茎が発達し、葉は披針形~狭い披針形。痩果に光沢がある。
   シロバナサクラタデ   :Persicaria japonica
                日本全土・朝鮮・中国の東部~中部および東南部の低標高地・台湾原産。
                サクラタデより花序枝が多く、先が垂れ下がることが多い。
                花序の節当りの花数が2-3個ならサクラタデ、4-6個ならシロバナサクラタデ。
                痩果に光沢がある。 


主写真撮影日:2012-10-07   撮影地:神奈川県箱根町 箱根湿性花園
撮影者:MOMO