ヤツガシラ

学名:Orostachys japonica f. polycephala  

ヤツガシラ(八頭) ベンケイソウ科イワレンゲ属

関東以西の本州・四国・九州の、自生の多くは西向きの崖で、ある程度乾燥した環境、ときに河川敷などに生育する多年草。園芸用にも栽培される。

丈は10-20cm。葉は常緑性、多肉質披針形で、先端は針状になる。野生種は緑色だが園芸品種には斑入りや白っぽくなったり、紅色を帯びるものがある。株は根出葉が密生してロゼット状にまとまり、その径は最大12cmほど。季節により変化し、冬には若干小さくなる。根元からは盛んに腋芽を出し、群落を形成する。中秋~晩秋、伸長したロゼットの中央軸が伸び上がって花穂を塔状に立て、多数の花を円錐状に群生する。花弁5枚では披針形で白色、葯は赤く花弁に映える。短日性で、花序の下方から順に咲き上がる。
花期は10-11月。
種子は微小で軽く、風によって散布される。

※ ツメレンゲの品種で、古くから園芸種として各地で観賞用に栽培されており、多数の腋生枝を出すことからの命名。
 ツメレンゲは、2017年の環境省レッドリストで準絶滅危惧種(NT)指定となっている。
 発芽から開花までおよそ3年ほどかかり、開花した株は結実後には枯死する。ただし株の成長途上にその周囲に幾つもの子株を形成するので、次々開花しても生息地その他の株がすぐに消えてなくなることはない。
 流通上属名に由来するオロスタキスの名で一括りにして、種・変種・品種・産地などの違いを園芸品種のような属性として扱っているため、オロスタキスの名で買い求めても同属別種のイワレンゲや、その他の別種であることがままあるので注意。


主写真撮影日:2019-11-21   撮影地:神奈川県相模原市緑区藤野地区 (植栽)
撮影者:MOMO