カヤ

学名:Torreya nucifera  

カヤ(榧)[別名:ホンガヤ] イチイ科カヤ属

宮城県以南の本州・四国・九州の、山地に生育する常緑高木。

樹高は25m、幹径2mほどになる。樹冠は円錐形で、大きくなると丸くなる。成長は遅いが、寿命は長い。樹皮は灰褐色。縦に浅く割れ、繊維状に細かく剥がれ落ちる。枝は無毛。初め緑色で、3年目には赤褐色になる。葉は長さ約2cm、幅約3mmの線形。螺旋状に付くが、側枝ではやや2列に並ぶ。表面は濃緑色で光沢がある。裏面にはやや狭い白い気孔帯が2本ある。先端は鋭く尖り、触れると痛い。雌雄別株、稀に同株。花期は晩春。雄花は前年の葉腋に付き、長さ1cmほどの楕円形。雌花は新枝の基部の葉腋に付く。
花期は5月頃。
種子は緑色の仮種皮が種子を完全に包み込み、長さ2-4cmの楕円形の核果状になる。開花した翌年の9月に熟すと、緑色のままで落下する。仮種皮はやや繊維質で容易に割れる。

※ 名は古名のカヘの転嫁で、葉を蚊やりに用いたからと言われる。
 種子からは油を採って食用にしたり、灯火用に使用した。また生の種子はヤニ臭いが、炒ると美味。
 材は黄褐色で緻密、特有の香りを持つ。光沢があり、耐朽性高いため、風呂桶や建築材に用いられる。材の堅さが適度なので、基盤として珍重される。

 [変種・近縁種]
  チャボガヤ:Torreya nucifera ver. radicans
        常緑低木で高さ2mほど、本州の日本海側や紀伊半島、四国の石槌山などに分布。
  イヌガヤ :Cephalotaxus harringtonia
        常緑低木~小高木で、高さ5mほど。
        葉はカヤよりは柔らかで、葉裏の気孔帯の幅がカヤより広い。


主写真撮影日:2019-01-13   撮影地:神奈川県相模原市緑区
撮影者:MOMO