イヌザクラ

学名:Prunus buergeriana  

イヌザクラ(犬桜)[別名:シロザクラ] バラ科スモモ属

北海道・本州・四国・九州の、日照の良い谷間などに多く生育する落葉高木。

樹高は10-15m、幹径20-30cmになる。樹皮は灰白色で光沢があり、淡褐色の横長の皮目がある。老木になると小さな薄片になって剥がれる。新枝は灰白色。無毛または微毛がある。葉は互生。葉身は長さ5-10cm、幅2.5-3.5cmの長楕円形。先端は尾状に長く尖り、基部は楔形。縁は波打ち、やや浅い鋸歯がある。洋紙質で、ふつう両面とも無毛だが、裏面の主脈に毛が生えることもある。蜜腺は葉身の基部にある。葉柄は長さ1-1.5cmで無毛。托葉は線形で縁に疎らに鋸歯があり、早楽性。晩春、葉の展開後に開花する。前年枝の節から出た長さ5-10cmの総状花序に白い花が多数付く。花序の軸には短毛が密生し、葉は付かない。花は径5-7mm。花弁は5個、長さ約2mmの倒卵形で先は丸い。雄蕊は12-20個、花弁より長い。雄蕊は無毛。萼筒は長さ約1.5mmの杯形で細毛があるか無毛。萼片は長さ約1mmの広卵形で細かい鋸歯がある。
花期は4-5月。
果実は核果で、径8mmほどの卵円形。7-9月に黄赤色から黒紫色に熟す。果肉は苦味が強い。萼片が花の後も落ちずに残る。核は扁平な卵形。

※ 名は、人の生活に身近であったウワミズザクラによく似ていて異なるので「似て非なるもの」の「非(イナ)」から転訛したとものと推定される。
 学名は「維管束植物分類表」では、ウワミズザクラ(Padus)属とされるが、「The Plant List」に従った。
 [近縁種]
  ウワミズザクラ:よく似るが相違点は、樹皮が紫褐色、葉の鋸歯が細かく鋭い、花序は新枝の先端に付く、花序の下部に葉があるなど。
  シウリザクラ :相違点は、樹皮はやや紫色を帯びた淡褐色、葉が長さ7-16cmと大きく基部が心形で鋸歯が細かく鋭い、花序は新枝の先端に付く、花序の下部に葉があるなど。


主写真撮影日:2018-10-28   撮影地:相模原市緑区
撮影者:MOMO