イスノキ

学名:Distylium racemosum  

イスノキ(柞の木、柞、蚊母樹)[別名:ヒョンノキ] マンサク科イスノキ属

静岡県以西の本州・四国・九州・沖縄の常緑樹林内に生育する常緑高木。

樹高は20m、幹径は80cmほどになる。樹皮は灰褐色。老木では鱗状に剥がれる。本年枝には褐色の星状毛がある。葉は互生。葉身は長さ4-9cm、幅2-3.5cmの長楕円形。基部は楔形で、縁は全縁。皮質で表面は滑らか。両面とも無毛。葉柄は長さ5-10mm。普通は雌雄同株。春、葉腋に円錐花序を出し、上部に両性花、下部には雄花が付く。両性花には褐色の毛に覆われた雄蕊があり、上部は2裂する。雄蕊は5-8個あり、葯は紅色。雄花では雌蕊は退化し、雄蕊の花糸も短い。
花期は4-5月。
果実は蒴果。長さ7-10mmの広卵形、先端に花柱が残り、表面には黄褐色の毛が密生する。熟すと2裂し、長さ5-7mmの楕円形の種子を出す。

※ 名の由来は不明。別名のヒョンノキは、木化して虫がいなくなった虫えいを吹くとヒョウの鳴ることから。
 イスオオムネアブラやイスノキコムネアブラなどのアブラムシの仲間によって、いろいろな虫えいができる。径数mmの小さなものから径6cmもある大きなものまである。
 材は緻密で重く、木刀や算盤玉・建築材・器具材に使われる。また虫えいはタンニンを含むので、染料に使われる。 


主写真撮影日:2018-08-15   撮影地:東京都調布市 神代植物公園
撮影者:MOMO