イヌシデ

学名:Carpinus tschonoskii  

イヌシデ(犬四手、犬垂)[別名:シロシデ、ソネ] カバノキ科クマシデ属

岩手県から新潟県以南の本州・四国・九州の、山地や丘陵の雑木林に多く、人里近くにも生育する落葉高木。

樹高は15m、幹径30cmほどになる。樹皮は滑らかで、白っぽい縦縞模様が目立つものが多い。老木には浅い割れ目が入る。本年枝は淡緑褐色で、普通白毛が密生する。2年目以降の枝は淡赤褐色で、丸い小さな皮目がやや多い。葉は互生。葉身は長さ4-8cm、幅2-4cmの卵形または卵状長楕円形。先端は鋭く尖り、基部は円形~広い楔形。縁には鋭く細かい重鋸歯が有る。側脈は12-15対あり、裏面に突出する。葉の表面は光沢がなく、少し伏し毛がある。裏面は脈上と脈液に毛がある。葉柄は長さ8-12mm、淡褐色の毛が密生する。雌雄同株。春、葉の展開と同時に開花する。雄花序は黄褐色で長さ5-8cm、前年枝から垂れ下がる。雄花は苞の下に1個ずつ付く。苞は卵状円形で、縁には毛がある。雄花には雄蕊が数個付き、葯の先には髭状の長い毛が生える。雌花序は本年枝の先端や短枝の腋から垂れ下がる。苞は広卵形で、雌花が2個ずつ付く。
花期は4-5月。
果実は堅果。10月に熟す。果穂は長さ4-12cmで、半長卵形の葉状の果苞がやや疎らに付く。果穂の柄には軟毛が密生する。果苞は長さ1.5-3cmで、先端は鋭く尖り、外縁には不揃いの鋸歯が有る。内縁は全縁で、基部に内側に巻いた裂片が有る。堅果は果苞の基部に付き、長さ4-5mmの扁平な広卵形。表面には10個ほどの縦の筋がある。

※ 名のシデの漢字は四手で、四手は神前に捧げる玉串や注連縄などに付ける白い紙や布で作った飾りで、果穂の様子が似ていることから。イヌは、新芽や紅葉が美しいアカシデに似て非なるものということから。
 [近縁種]
  クマシデ:葉の側脈が20-24対と多く、形状は狭卵形~卵状長楕円形で、幅が2.5-4.5cmと狭く基部は円形か浅い心形で左右不同。


主写真撮影日:2018-08-15   撮影地:東京都調布市 神代植物公園植物多様性センター
撮影者:MOMO