デンジソウ

学名:Marsilea quadrifolia  

デンジソウ(田字草) デンジソウ科デンジソウ属

北海道・本州・四国・九州の池や沼・水田などに生育する夏緑性のシダ植物。

葉の形は四つ葉のクローバーに似る。茎は長く横に這い、浅い水域を埋め尽くすような大きな群落を作ることが多い。水中や湿地の泥の表面に広がり、水中にも伸び出す。間隔を置いて葉を伸ばす。葉には長さ10-15cmの葉柄があり、先端に四枚の小葉をつける。小葉はすべて同じ形で、ほぼ扇型の一つの角で柄につながり、先端はやや丸くなる。このような小葉を葉柄の先端に集中させて付け、水面ではこれを水平に広げるので、四枚の小葉はほぼ隙間なく並んで全体では円形になる。水中では葉は水面に浮かぶか、水面から抜き出て空中に広がる葉では、小葉はやや立つ。葉脈は二又分枝が中心で網目を形成する。胞子嚢群は葉柄の基部より少し上から出た短い柄に1-3個の楕円形の胞子嚢果を付け、その中に2列に並ぶ。胞子には大胞子と小胞子がある。大胞子嚢と小胞子嚢は一つの胞子嚢群に混在する。胞子嚢果が成熟すると縦に裂け、包膜で包まれた胞子嚢がゼラチン質のリボン状のものに包まれて出てくる。 大胞子からは雌性配偶体、小胞子からは雄性配偶体が発芽し、卵は前者、精子は後者のみに生じる。

※ 名は小葉4枚が並ぶ形が「田」の字に見えることから。
 かつては水田雑草としても知られ、ごく普通種だったが、除草剤に弱く現在では激減している。
 環境省レッドリストで絶滅危惧II類(VU)指定。
 [近縁種]
  ナンゴクデンジソウ:Marsilea crenata
            デンジソウと非常によく似るが常緑性。
            デンジソウでは胞子嚢が葉柄の基部から少し離れたところから出るが、葉柄の基部から出る。
            やや小型で葉の縁に波状の鋸歯を持つものが多い。
            九州南端から琉球列島に分布するが、福岡県では両者が共存。
            環境省レッドリストで、絶滅危惧IB類 (EN)に指定されている。


主写真撮影日:2018-08-15   撮影地:東京都調布市 神代植物公園植物多様性センター
撮影者:MOMO