イヌツゲ

学名:Ilex crenata  

イヌツゲ(犬黄楊) モチノキ科モチノキ属

北海道・本州・四国・九州の、山地の岩場・草地・林縁などに生育する雌雄異株の常緑小高木。

樹高はふつう2-6m、稀に高さ15m、幹径10-15cmに達する。よく枝分かれし、枝葉が密生する。樹皮は灰黒色。皮目が多い。本年枝は緑色で稜があり、細毛が生える。葉は互生。葉身は長さ1-3cm、幅5-15mmの楕円形または長楕円形。縁には浅い鋸歯が数個ある。両面とも無毛。裏面には腺点があり、側脈は不明瞭。葉柄は長さ1-2mm。初夏、本年枝の葉腋に淡黄白色の小さな花を付ける。雄花は散形花序に2-6個付き。雌花は1個ずつ付く。花弁は4個、卵円形で長さ約2mm。萼片は4個。雄蕊は4個。雌花の雄蕊は退化して小さい。子房は緑色で半球形、柱頭は4裂する。
花期は6-7月。
果実は核果。径5-6mmの球形で、10-11月に黒色に熟す。核は三角状楕円形で長さ約4mm、縦の筋が5個ある。中には種子が1個ある。

※ 名は、ツゲ(柘植、黄楊)に似ているが、材木として使えないためで、「イヌ」は役に立たないを示す接頭語。
 ツゲは、葉が小さいことが似るが、ツゲ科に属し、葉は対生する。
 庭木や盆栽として植栽される。
 樹皮からは鳥もちが採れる。 

 [品種・変種・近縁種]
  コバノイヌツゲ :Ilex crenata f. microphylla
           葉がイヌツゲより更に小さい。
  オオバイヌツゲ :Ilex crenata f. latifolia
           葉がイヌツゲより大きい。
  マメイヌツゲ  :Ilex crenata f. bullata (別名:マメツゲ)
           園芸用によく栽培される。葉の表側が膨らんで反り返る。
  ハイイヌツゲ  :Ilex crenata var. paludosa
           本州から北海道の寒地の湿地に生え、茎の基部が這う。
  ツクシイヌツゲ :Ilex crenata subsp. fukasawana
           葉がやや大きくて薄く、やや細長く、枝に稜がある。四国と九州南部、伊豆諸島と中国に分布。
  ムッチャガラ  :Ilex maximowicziana var. kanehirae
           別名:シマイヌツゲ、ナガバイヌツゲ
           鹿児島県の奄美大島以南・沖縄県に分布。
           イヌツゲと比較し、枝が細く葉も長い。熟した果実の色は赤色。


主写真撮影日:2018-06-08   撮影地:神奈川県川崎市多摩区 川崎市緑化センター
撮影者:MOMO