ココヤシ

学名:Cocos nucifera  

ココヤシ(ココ椰子) ヤシ科ココヤシ属

ポリネシアから熱帯アジアが原産とされ、アジア・アフリカ・ヨーロッパの熱帯の海岸に果実が漂着し広い範囲に生育する。熱帯を象徴する代表的なヤシで、観賞用のヤシ林とするほか鉢植えにもする常緑高木。

樹高は20-30m、幹径30-70cm。幹は単幹で、多少波状に伸び傾斜ないし直立する。葉は披針形で直伸し全裂羽状葉、長さ4-6mで光沢のある鮮緑色。小葉は長さ1-1.5mで中軸の両側に逆V字状に着生し、中軸、中脈とも明緑色。葉柄は自然に落下して幹肌に波状紋を残し、枯れ葉をみせない。熱帯のものは緑葉のままで斜め下方に垂れ、気温不足のときは枯れ葉が残るが水平以下には垂れない。雌雄同株で大きな円錐花序を付け、先端部は雄花で、基部に雌花を付ける。花序は長さ1-1.5m、花は乳白色。雄花は200-300個、雌花は1-4個。
花期は通年。
果実は3稜がある楕円形で横径10-30cm。色は橙黄色(変種のキングココヤシking coconut, golden palm/var.aurea)、赤褐色、白色、緑色の4色。外果皮は薄いが、中果皮は厚い繊維質、内果皮(核)は黒褐色の角質で硬く、珠孔内に胚があり、まれに2-3個の胚をもつものもある。胚乳(仁)は、未熟果では水液が充満し(ココナッツミルク)、成熟果では白い果肉となる。

※ ココヤシのココは、「猿」という意味のポルトガル語、「果実の殻が、猿の顔のように見えたから」と言われる。
 非常に利用価値の高い植物で、茎は材として用いられ、特にポリネシアなどの海洋の小島では唯一の材木となる場合もあり、近世までアラビア海・東アフリカ・インド貿易で利用された船(ダウ船)の建材として利用された。葉は屋根を葺き、あるいは繊維を編んで敷物やかごなどに加工される。
 果実はココナッツと言われ、主として食用になる。固い殻の内部の周縁部には固形胚乳の層があり、中心近くには液状胚乳が入っている。液状胚乳はそのまま飲用される。これは、熱帯では多くの場合に野外の生水は衛生的に危険なことから、非常に重宝される。1個の果実には約1lの液状胚乳ココナッツジュースが入っている。胚乳はそのまま食べられるほか、ココナッツミルクなどに加工して料理にもよく使われる。また、これを乾燥させてコプラを作る。これは油分が多く、工業原料にもなる。
 果実の皮からは繊維を取り出してロープやたわしなどができる。内側の固い殻は容器として用いられるほか、細工物にも使われる。
 ココヤシの耐寒温度は、越冬させる15℃以上、出来れば20℃以上必要なため、観葉植物として果実から芽吹いた状態で流通もするが、一般家庭では冬越しは困難。


主写真撮影日:2017-11-26   撮影地:東京都江東区 夢の島熱帯植物館温室
撮影者:MOMO