クロツグ

学名:Arenga engleri  

クロツグ(桄榔、桄榔子) ヤシ科クロツグ属

原産地は奄美諸島以南の鹿児島県・沖縄県・台湾の低地から山地の樹林内に生育し、九州南部や小笠原諸島に帰化している常緑小高木。

樹高は5mほどになる。茎は円柱状で、数本が束になって生じる。 茎の表面は葉の基部の葉鞘が分解して生じる黒い繊維に覆われて見えない。葉は長さ3mにも達する。羽状複葉で全体は長楕円形、基部には1mほどの葉柄がある。小葉は20-40対以上もあり、個々の小葉は細長く長さ25-60cmになる。葉質は硬く革質、表面は黒っぽい緑色で鈍い艶がある。裏面は白っぽく、中肋が強く突出し、基部近くではここで二つ折り状態となり、その側面で軸に付く。小葉の先端は細かく切れ込む。雌雄同株。ある程度に成長して最初に付く花序は、幹の先端に付き、翌年以降は順次前年の花序の下方に付き、数年で枯死する。雌雄の花は別の花序につく。花序は橙色のカプセル状で、最初多数の苞に包まれ、芳香のある3弁花となり中に多数の白い雄蕊がある。花序の枝は黄色みを帯び、非常に多数の枝に分かれ、花は長く伸びた枝に多数密着して生じる。雌花は無臭で薄茶色の球形で径は1cm程。
花期は4-6月。
果実は液果。径約2cmの球形で橙色に熟す。

※ 名は、幹が黒い繊維で覆われるツグ(シュロの意味)ということから。
 葉鞘の黒い繊維はとても強く、シュロと同様に様々に利用される。耐水性が強く、船用の綱に使用される。新芽と若葉は食用になる。
 観葉植物として鉢物でも流通する。0℃以上なら越冬可能。 


主写真撮影日:2017-11-26   撮影地:東京都江東区 夢の島熱帯植物館温室
撮影者:MOMO