学名:Dendrobium bigibbum
コチョウセッコク(胡蝶石斛)[別名:デンドロビウム・ファレノプシス、デンファレ] ラン科セッコク属ニューギニア・オーストラリア北部の原産で、標高400mまでの低地の樹木に着生する多年草。原種デンドロビウム・ビギバムをもとに交配した多くの園芸品種がある。
花茎の丈は25-80cm。細長い茎状のバルブ(栄養を蓄える丸い茎部)の頂部から花茎をほぼ直立に伸ばし、コチョウランの花形によく似た花を咲かせる。バルブには多数の節がある。バルブ上部に付く3-6枚の葉は、互生し長さ5-12cmの披針形。花茎は10-40cmの長さで、20個までの花を付ける。花は径3-6cmの紅紫色。園芸種では、白・桃・黄・水色などの品種もある。
花期は5-10月。栽培温度によって変わる。
※ 名は、コチョウランの花ににた、セッコクの仲間であることから。
デンドロビウム・ファレノプシス(または略したデンファレ)が多く使われているが、The Plant Listでは、デンドロビウム・ビギバムのシノニムとされている。
耐寒温度は7℃。屋内に取り込んでも寒波の時には、防寒対策を要する。
セッコク属(デンドロビウム属)は、東南アジアを中心に世界各地に広く分布し、原種が1000以上あると言われる。日本ではセッコクが古くから栽培され、特にその葉変わり品を中心としたものは長生蘭と呼ばれている。
[園芸品種としてのデンドロビウムの系統]
ノビル系 :原種デンドロビウム・ノビル(Dendrobium nobile)とそれに近いものとの交配種など。
棒状の茎を伸ばして葉をつけ、葉を落とした茎から花を咲かせる。
花は各節からせいぜい2-3個だが、個々の花は大輪。
デンファレ系 :原種デンドロビウム・ファレノプシス(Dendrobium phalaenopsis)と、それらの近縁種との交配種
などからなる一群。前記の通り、学名はデンドロビウム・ビギバムが有効名となっている。
茎や葉の形はノビル系とさほど変わらないが、花は茎の先端付近だけから生じ、長い花茎を斜めに伸ば
して、多数の花を穂のように付ける。
キンギアム系 :原種デンドロビウム・キンギアナム(Dendrobium kingianum)を中心とする一群。
細い茎で先端に葉が集まる独特の葉姿をで、花は茎の先端から上に伸びる花茎に多数を付ける。
花は小輪ながら紫で美しい。
フォーミデブル系:原種デンドロビウム・フォルモーサム(Dendrobium formosum)とその近縁種からの改良品種。
ごく大輪のカトレアのような花を茎の先端に少数付ける。
色は白系統。また、その年の葉をつけたバルブに開花する。
カリスタ系 :カリスタ節の原種群。タイ、ミャンマー、インドなどに分布。
花が下垂性で房のように咲く。
主写真撮影日:2017-11-26 撮影地:東京都江東区 夢の島熱帯植物館温室
撮影者:MOMO