学名:Vanda coerulea
ヒスイラン(翡翠蘭)[別名:バンダ・セルレア] ラン科ヒスイラン属インド北西部・ミャンマー・タイ・中国雲南省の標高1000-1600mの開いた森林や川沿いの樹木に着生して生育するラン(蘭)で、中輪の薄い青紫色の花を付ける。鑑賞用に栽培され、多くの園芸品種の母種となっている多年草。
根は空気中の水蒸気を吸収する吸水根。茎は長さ5-25cm、太さは0.5-1.5cmとなり、長さ16cm前後で幅1.5cmほどの皮質の葉を互生する。花茎は茎の先の葉の付け根から出て、径5-12cm程の大きな花を多数咲かせる。基本種の花色は青色。花は外花被片3、内花被片3で内花被片の一つが唇弁になって前方に突き出す。雌蕊1個と雄蕊1個(葯2)は唇弁の上部に合着し葯帽となる。
花期は8-10月。
※ 栽培は、土を使わず鉢やバスケットの中にそのまま入れたり、天井から吊るしたり根をむきだしのまま育てる。空気に触れる状態でないと根腐れを生じる。6-9月の夏場は生長期なので、朝方と夕方に根が乾燥していれば水やりする。10-5月は、朝方の1回が目安。鉢植えなら、水をためたバケツに5分ほどつけ置きするか、ジョウロで水をかける。株を吊るしている場合は霧吹きで十分に吹きかける。肥料は、液体肥料を霧吹きでふきかけるか、バケツの水に液体肥料を混ぜて浸け置きする。6-10月の成長期は、3日から週に1回ほど肥料を与えるのが良い。
気温は冬季でも10℃以上が望ましい。
[近縁種]
バンダ・クリスタータ :Vanda cristata
インド、ネパール原産で小型。
鉢植えで栽培しやすい。緑色の花弁と赤茶色のリップのコントラストが美しい。
あまり交配親には使われていない原種。
バンダ・デニソニアナ :Vanda denisoniana
タイ、ミャンマーの原産。
中型の株姿で花も中輪で、香りがある黄花の原種。
バンダ・サンデリアーナ:Vanda sanderiana
フィリピンのミンダナオ島の原産。
花は上半分がピンクで下半分は黄色地に褐色の網目が入る。主に秋咲き。
バンダ・テレス :Vanda teres
ミャンマーからインドのアッサム地方の原産。
葉は棒状で、パピリオナンテス属に分類することもある。
花は色幅があり白からピンクで、左右の花弁は少しねじれて開く。
バンダ・ラメラータ :Vanda lamellata
フィリピン、台湾、尖閣諸島などの原産。
花は淡い黄色、径3cmほどで芳香がある。
コウトウヒスイランの和名がある。
主写真撮影日:2017-10-26 撮影地:神奈川県小田原市 小田原フラワーガーデン温室
撮影者:MOMO