ウツボカズラ

学名:Nepenthes rafflesiana  

ウツボカズラ(靫葛)[別名:ネペンテス・ラフレシアナ] ウツボカズラ科ウツボカズラ属

東南アジア原産で、温室植物として観賞用に栽培される多年草。

常緑性の蔓植物で食虫植物。茎は細長く伸びて4mほどになるが、時として15mに達する例もある。茎には白い綿毛が密生し、特に若い茎に多い。捕虫袋や葉の形は茎の下部と上部で異なる。下部の葉は葉身が披針形からさじ型で長さ8-30cm、幅1.5-5cm、葉柄は長さ2-10cmで縦溝と細い翼があり、その基部は茎の半分から2/3までを抱える。そこから生じる捕虫袋は全体に球形から卵形で下が丸く膨らんでいる。よく発達した翼が縦に2枚あり、その縁は細かな糸状に裂ける。袋の口にある縁歯はよく発達し、平らで袋の内部に向けて垂直に伸び、その幅は1.2-1.5cmになる。茎の上部では、葉は長さ12-30cm、幅3-10cm、葉身の形は倒卵円形から披針形、葉柄は長さ6-15cmでやはり縦溝と狭い翼があるが、その基部は茎を半分ほどしか抱えない。そこに生じる捕虫袋は上向きに広がった漏斗型で縦の翼は無くなる。雌雄異株。花は円錐状総状花序を形成し、花弁はなく、内面に蜜腺を持つ。花弁は4個、成熟すると反り返る。雄花は花序の中央に多数の雄蕊が集まって、雌花では雌蕊が、いずれも花の中央から前に突き出す。
花期は6-7月。
種子はごく小さい。

※ 名のウツボは、狩などで、矢を入れておくためのさやをウツボ(靫)と言い、捕虫器の形が似ていることからで、カズラは蔓の意。
 ウツボカズラは狭義では rafflesiana 種だが、ウツボカズラ属全体を指すこともある。
 捕虫器は袋の形で、蔓はその底面につながっている。上面には口があり、その上に蓋がついている。蓋は口を軽く覆うようになっており、背面側で袋の口に接続する。この蓋は袋の中に雨水などが入りにくくする役割を持っているもので、虫が入ると閉じる、などといったことはしない。しかしこの蓋の裏側の表面は虫は歩けるが適度に滑る様になっており、雨天時に避難してきた虫がこの蓋の裏にいると雨滴がこの蓋に当たった時に袋の中に落とす罠となっている。口の周囲は反り返り、ツルツルになって、虫が滑り落ちやすくなっている。袋の中には底のほう三割くらい、透明な液体が入っている。この液体はほとんど水であるが、消化液が含まれ、落ち込んだ昆虫は次第に消化され、袋の内側から吸収される。
捕虫器は、最初は葉の先端の蔓の先の膨らみとして生じる。膨らみは次第に大きくなり、それにつれて基部で曲がって口を上に向け、袋の形になる。この時点では袋の口には蓋が密着しており、閉じているが、液はたまっており、やがて蓋が外れ、口の周囲が反り返って捕虫器が完成する。


主写真撮影日:2017-10-18   撮影地:神奈川県相模原市南区 相模原公園温室
撮影者:MOMO