コチョウラン

学名:Phalaenopsis hybrids  

コチョウラン(胡蝶蘭)[別名:ファレノプシス] ラン科コチョウラン属

東南アジアを中心とした熱帯・亜熱帯地域におよそ50種が分布し、昼夜の気温差が大きく高温多湿な森林内で、風通しのよい樹木の高い位置にある枝や幹に着生する多年草。現在の、大輪系(花径10-15cm)は、比較的小型の原種から100年近く改良を重ねて作出されたもの。ファレノプシス・アフロディテ(P. aphrodite、厳密にはこの種がコチョウラン)とファレノプシス・アマビリス(P. amabilis)はともに白花だがファレノプシスの他種や、特に近縁のドリティス・プルケリマとの交配などにより、様々な花色のものが作られている。これは厳密にはドリテノプシス属となるが、園芸上は区別されていないことが多い。実際にどれだけの交配品種があるかについては実体が不明な面もある。

単茎性であり、いわゆる偽球茎は持たない。茎は短く、数枚の葉を折り重なるように付ける。茎の下部からは多数の太い根を出し、野外ではそれによって樹皮に付着する。根の表面には海綿状の根皮がよく発達する。葉は2列性で肉厚扁平、中央で二つ折りになり、楕円形、茎の上でごく密接して生じ、折り重なるようになる。葉は数枚のものが多い。年を越えて維持されるものが多いが、落葉性のものもあり、花時に一時的に無葉となるものもある。全体に緑のものが多いが、斑の入るものもある。花は葉腋から出るが、茎は葉鞘に覆われるため、普通はこれを突き破って出る。花茎には数輪から十数輪の花を穂のように(総状)に付けるが、花茎に分枝を出す場合もある。花は下から上に咲いてゆくが、全体がほぼ同時に咲くものもあれば、下から一つずつ、時間をかけて咲いてゆくものもある。花期は長い。花は5弁が大きく開き、唇弁は比較的小さい。唇弁は基部で3裂し、側裂片は小さく立ち、中裂片は突き出してやや広くなる。また唇弁の基部に突起があり、距はない。花柱は短く、花粉塊は2個。花の外形は側花弁が萼片より幅広く、全体に丸い花形となり、唇弁先端が左右にまき鬚となる。

※ 名は、花の形から蝶に例えられたもの。属名のファノプシスは「蛾のような」を意味する。
 ドリテノプシス(Doritaenopsis)属は、コチョウラン(Phalaenopsis)属とドリティス(Doritis)属の交配による品種。

 [コチョウラン(広義)のタイプ]
  • 白花系
    花が全体に白いもの。もっとも人気が高い。アマビリスやアフロディテのイメージを継ぐ。
    原種の花が径7cm程度であるのに対して、大きいものでは15cmと約2倍もの大きさのものが作出されている。
  • セミアルバ系
    白い花で、唇弁のみ赤などの色が乗るもの。多くはドリテノプシス属。
  • ピンク花系
    赤やピンク系の花。多くはドリテノプシス。
  • 黄花系
    黄色系の花色の原種には花の小さいものが多く、交配品はそれらと白花大輪のものを交配したものが多い。
  • 筋花
    たとえば白地の花弁に赤などの筋や網目のような模様が入るもの。
  • 点花
    同じく、花弁に点斑紋が入るもの。
  • ミニ系
    小柄で小輪花を多数つけるもの。ドリティス・プルケリマやエクエストリスなどが交配親に使われる。
  • 原種
    原種のままに広く流通しているものもある。アマビリスなどがその代表。
    ドリティス・プルケリマもミニ胡蝶蘭として取り上げられることもある。


主写真撮影日:2008-03-16   撮影地:福岡県福岡市 南公園 (温室植栽)
撮影者:MOMO