ミヤマシッポゴケ

学名:Dicranoloma cylindrothecium  

ミヤマシッポゴケ(深山尻尾苔) シッポゴケ科ヘリトリシッポゴケ属

本州・四国・九州・沖縄の、山地の樹幹や腐木上に群生する蘚類。

全形はシッポゴケ属に似る。茎はふつう長さ5cm以下で、枝は少ない。葉に光沢があり、線状披針形で細く尖り、葉先が折れやすく、完全な葉で長さ約7mm、乾いても殆ど変わらない。中肋は細く葉の株で葉の幅の1/15以下、葉先に達し、背面に歯がある。中肋の断面は一様な細胞からなり、ステライド(中肋内部にある厚壁の細胞からなる組織)は不明瞭。葉縁の上半には小歯がある。葉身細胞は平滑、葉身上部の細胞は細い矩形で、長さ70-90μm、厚壁で明瞭なくびれがある。葉の翼細胞はよく発達し、褐色で方形。翼部と中肋の間には非常に細長い、壁にくびれのある細胞が並ぶ。雌雄異株。蒴柄はふつう単生。蒴は長い円筒形で直立し、長さ3-4mm、乾いてもしわが寄らず、気孔と口環がある。蒴歯の上半部は2裂し、乳状突起(パピラ)があり、下部に縦の条がある。帽は僧帽形。

※ 蒴の写真(下段中)は、平凡社「日本の野生植物 コケ」より転載。


主写真撮影日:2016-08-25   撮影地:神奈川県秦野市
撮影者:MOMO