ホソバナライシダ

学名:Arachniodes borealis  

ホソバナライシダ(細葉奈良井羊歯) オシダ科カナワラビ属

北海道・本州・四国・九州の、低山~山地のやや暗い林床に生育する夏緑性シダ。

丈は50-90cm。根茎は長く横走し、径3-7mm、疎らに鱗片をつける。葉柄はわら色か一部赤褐色を帯びる程度で、半透明~淡褐色の膜質の鱗片をやや密に付け、葉身とほぼ同長。葉身は5角形状、4回羽状中裂~全裂し、鋭頭、基部は切形、長さ50cm、幅約35cmだが、大きさには変異がある。葉質は薄い草質、葉面は表裏とも単細胞の尖った毛を付ける。中軸の鱗片は淡褐色で、広披針形、全縁。小羽軸裏面の鱗片は多く、卵形~狭卵形、幅0.4-0.6mm、袋状に膨らむ。小羽軸表面は無毛か、毛があっても僅か。小羽片は3角状で鋭尖頭。2次小羽片の裂片は深く切れ込み、鋸歯がある。胞子嚢群(ソーラス)は裂片の切れ込み近くに付き、葉脈に背生する。苞膜は腎円形で、無毛、径1mm以下。

※ 名は、ナライシダは木曽の奈良井で発見されたことに由来。
 [近縁種]
  ナンゴクナライシダ:裂片の幅が広く、小羽軸上に毛が密生し、葉柄の鱗片は少なく、苞膜は径1-1.5mm。
  ヒロハナライシダ :苞膜に縁毛が生え、葉裏の鱗片は袋状とならない。生育確認は稀。
  タカヤマナライシダ:ホソバナライシダとナンゴクナライシダとの雑種。両種の中間的な形質が見られる。
  キサラギカナワラビ:ホソバナライシダとハカタシダとの雑種。京都府のみで知られている。


主写真撮影日:2016-08-07   撮影地:長野県東御市 池の平湿原
撮影者:MOMO