トヤマシノブゴケ

学名:Thuidium kanedae  

トヤマシノブゴケ(外山忍苔) シノブゴケ科シノブゴケ属

北海道・本州・四国・九州・沖縄・小笠原諸島の、山地~低地の地上や岩上に生育する蘚類。

大形で、茎は硬く、長く這い、3回羽状に平らに分枝する。茎や枝の表面に多くの小さな葉状、あるいは1-2細胞列の毛葉が密に付く。毛葉の細胞の中央付近に小さなパピラ(乳状突起)がある。茎葉は疎らで、枝葉より遥かに大きく、長さ1.3-1.6mm、ほぼ三角形で下部には深い縦皺があり、先端は長い糸状の透明尖となる。中肋は太く、葉先近くに達し、葉縁は狭く反曲する。葉身細胞は不規則な矩形~六角形で厚壁、先が2-4に分かれた大きなパピラ(乳状突起)がある。枝葉は卵形で鋭頭、透明尖は無く葉先の細胞の端には2-3個のパピラ(乳状突起)が付き、葉身細胞には茎葉と同じように先が分かれたパピラ(乳状突起)がある。雌雄異株。内雌苞葉の上部の縁には長い毛がある。蒴柄は長く、3cm前後。蒴歯は完全。胞子は径10-15μm。

※ 名のトヤマは苔研究者の外山さんにちなみ、シノブは、シダ植物のシノブに似ることから。
  シノブ属を正確に同定するためには、葉の細胞の突起(パピラ)の有無などを顕微鏡レベルで観察する必要がある。
 [近縁種]
  ヒメシノブゴケ   :やや小形、茎葉にトヤマシノブゴケ同様、透明尖があるが、葉身細胞のパピラの先が1個だけ。
  オオシノブゴケ   :葉に透明尖がない。毛葉がほとんど1細胞列。葉身細胞のパピラは1個。
  コバノエゾシノブゴケ:やや小形、透明尖がない。細胞のパピラは1個。大枝の先端の細胞にだけパピラが2-4個ある。


主写真撮影日:2016-06-26   撮影地:東京都町田市 芹が谷公園
撮影者:MOMO