ヒナノハイゴケ

学名:Erpodium sinense  

ヒナノハイゴケ(雛の這苔)[別名:クチベニゴケ] ヒナノハイゴケ科ヒナノハイゴケ属

北海道・本州・四国・九州の、低地の樹幹や岩上などに生育する蘚類。

植物体は小形~中形、淡緑色~暗緑色、樹上に生えるのが普通だが、石垣上にも生える。茎は基部に仮根があり、長さ1-2.5cm、這い、よく分枝して密に短枝を出す。背葉と腹葉は異なり、背葉は長さ1.0-1.5mm、幅約 0.5mmの卵形、腹葉はやや小さく長さ約 1.0mm、幅約0.4mm。葉は乾いても縮まず、全縁、中肋はなく、先は細長い透明尖となる。上部~中部の葉身細胞は長さ25-57µm、幅15-25 µmの六角形~菱形~偏菱形、薄壁、平滑。先端の細胞は長く、縁の細胞は幅20-25µm、方形に近い。翼部の葉身細胞は長さ20~30µmの卵形~短い矩形。雌雄同株。蒴柄は長さ0.3-0.5mm。蒴は長さ0.9-1.8mm、幅0.5-0.8mmの卵形、雌苞葉に包まれるように直立する。雌包葉は長さ0.9-1.8mm、幅0.5-0.8mmの卵形、細胞が長く、透明尖も長い。蒴帽は長さ1.4-1.8mm、ひだのある尖帽形。蒴帽が取れると蒴の口環が赤色~赤褐色で目につきやすい。蓋は橙色で、短い嘴がある。蒴歯は1列、16個、長さ約0.2mmの狭披針形、赤色~赤褐色、密に横条があり、パピラが密にある。胞子は直径27-33µm、細かいパピラがある。

※ 名は、小形の這うコケの意と思われますが、別名のクチベニゴケは蒴の口環が赤っぽい色をしていることから。


主写真撮影日:2016-05-15   撮影地:神奈川県相模原市南区
撮影者:MOMO