イヌホオズキ

学名:Solanum nigrum  

イヌホオズキ(犬酸漿) ナス科ナス属

北海道・本州・四国・九州・沖縄の、畑・荒地・草地・道端などに生育する1年草。

丈は30-60cm。茎が暗紫色を帯びることが多く、上向きの曲がった毛がある。葉は卵形~広卵形、縁は全縁~浅波状、葉の幅がやや広い。葉の両面に屈毛があり、葉裏の脈にも屈毛がある。花は1つの房に総状に集まって付く。花冠は星形に平開した幅10-12mm程度、白色~淡紫色で、5裂するが、基部まで切れ込まず、裂片の幅が広い。少数だが、切れ込みが深く裂片の幅があまり広くないときもある。葯は長さ約2mm。花柱は長さ4mm前後、あまり曲がらない。萼は長さ2-3mm、5裂し切れ込みが浅くて萼片が短く、若い果実を上から見ると5角形に近いようなものも見られる。
花期は6-11月。
果実は径8mm前後、未熟な緑色のときにも光沢がほとんどなく、普通、熟して黒くなっても光沢はない。稀にかなり光沢のある果実が混じるときもある。果実の表面に見えるフケ状の班紋は少ない。果実に種子と一緒に含まれる球状の顆粒の数で同定するが、イヌホオズキには含まれない。種子の長さは約2mm。

※ 名は、 草姿などがホオズキに似ていて、果実に赤い袋をつけないので「似て非なるもの」の「非(イナ)」から「イヌ」に転訛したものと推定されている。
 イヌホオズキの仲間は、日本自生種のテリミイヌホオズキ、帰化種のアメリカイヌホオズキ、ムラサキイヌホオズキとオオイヌホオズキなどがあり、外観上は似たものが多く、確実に同定するためには、果実に含まれる種子の大きさや粒状顆粒の数などを調べる必要がある。
 [近縁種]
  アメリカイヌホオズキ:花がやや小さく、明瞭な淡紫色になることが多い。花は散状(一点)に付く。
             果実に光沢があり、粒状顆粒が4-6個含まれる。種子の長さは1.2-1.5mm。
  オオイヌホオズキ  :花は白から紫色で、5-8個。花は散状的であるがずれるものがある。
             熟した黒い実は少し艶があり、粒状顆粒が4-10個含まれる。種子の長さは1-1.5mm。
  ムラサキイヌホオズキ:花が淡紫色を帯び、全体の外観もアメリカイヌホオズキによく似る。
             茎など全体に紫色を帯び、果実はフケ状班紋がやや多く、大きくて光沢が強い。
             粒状顆粒が2-6個含まれる。種子はやや大きく長さは1.3-1.8mm。
  テリミノイヌホオズキ:花序の花数が多く、果実が早くから黒紫色になり、光沢が強い。
             緑の果実のフケ状班紋が明瞭で、横幅の広い楕円状になりやすい。
             球状顆粒はほとんどなく、あっても1-2個が多い。種子の長さは1.0-1.8mm。


主写真撮影日:2015-09-21   撮影地:神奈川県三浦市
撮影者:MOMO